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アジアドラマカンファレンス

アジア各国の文化交流、相互理解の進展、意見交換などを推進し、各国におけるドラマ産業への寄与を目的として、連携・協力体制の構築などに取り組んでいます。その成果として、企画協力、制作協力、互いの支援体制作り等が生まれています。

ATPは、第7回の福岡開催から、日本側の主催団体としてカンファレンスの企画、運営に携わっています。

ATP主催「第11回アジアドラマカンファレンス2016」
開催レポート

ATPからの参加者 計9名
  倉内 均 理事長(アマゾンラテルナ)
  金澤宏次 副理事長(ユニオン映画)
  沼田通嗣 理事(テレパック)
  内丸摂子氏(東阪企画)
  佐野奈緒子氏(大映テレビ)
  河原 瑶氏(テレパック)
  越智篤志氏(NEP)
  久保田 充氏(AX₋ON)
  茂山佳則氏(AX₋ON)

 

「第11回アジアドラマカンファレンス2016」(主催:KOFICE韓国文化産業交流財団、AIE九州・地域企業連合会 九州連携機構、ATP全日本テレビ番組製作社連盟)が、11月21日、22日と福岡市キャナルシティ内のホテル会場で開催され、ATP倉内均理事長の開催の辞を皮切りに、長時間に亘り有意義な議論が展開され、盛会のうちに幕を閉じた。

今回も日中韓をはじめタイ、ミャンマー、ベトナム、シンガポール、フィリピンから、第一線で活躍する130名を超える脚本家、ドラマ製作者、コンテンツ事業プロデューサーらが参加。今回のテーマ『マルチプラットフォーム時代のドラマ・コンテンツの課題』に向けて、脚本家、製作者双方から、発表作品を基にした、多角的で現実的な分析、議論が課題解決に向け持たれた。

第11回アジアドラマカンファレンス2016 写真その1第11回アジアドラマカンファレンス2016 写真その2

第1部では各国の製作者、コンテンツ事業者が登壇。日本からはHulu 於保浩之社長が『Huluの“オリジナルドラマ”について』と題し、続いてテレパック河原瑶ディレクターがNetflix配信ドラマ・コンテンツ『Good Morning Call』について基調報告。質疑応答、議論が展開された。

於保浩之氏はHulu オリジナルドラマとして、日本テレビグループの強みを最大限に生かした4種類の地上波連動型ドラマを紹介。①【地上波の続編型】として、続編、別角度からのコンテンツを配信。例)「ラストコップ」 ②【ディレクターズカット型】として、地上波とは多少異なる未公開シーンを盛り込む。例)「マジすか学園」 ③【第1話のみ地上波放送型】として、初回だけ地上波で放送し、第2話以降は全てHulu のみで配信する。例)「HiGH & LOW」 ④【配信先行型】として、連続レギュラードラマを毎週、地上波より1週間前にHuluでのみ配信。例)「ニーチェ先生」 一方、地上波とは全く連動しない、配信限定の連続ドラマとして「フジコ」を紹介。各型全て作品映像を上映し、サービスの趣旨を解説。

また、作り手にとっての配信限定ドラマの魅力として、配信基準は当然あるがと前置きし、各話の尺が多少異なっても許される編集、またコマーシャルが入らない、スポンサーがいないのでいわゆる“制約”がない等々を挙げた。

最後にHuluが求めていることとして、企画面での知名度や期待、地上波との連動など“掛け算”の魅力。続きが見たいという中毒性の高さ。国内配信のみでのリクープの難しさから、海外展開の必要性をアッピールした。

第11回アジアドラマカンファレンス2016 写真その3第11回アジアドラマカンファレンス2016 写真その4

テレパック河原瑶ディレクターは、Netflixより世界140カ国に配信中、同様にFOD(フジテレビオンデマンド)でも配信、またCX深夜枠で放送中の連続ドラマ・コンテンツ「Good Morning Call」(全17話)に関し、自ら企画・監督を担当したなか、企画立案、成立、製作に至る経緯を具体的に解説。

このドラマの原作は、少女まんが雑誌「りぼん」で人気の大ヒット同居ラブ。“イケメン男子とヒミツの同居はじめます”をキャッチフレーズにした、同居ものラブコメの金字塔。少女漫画原作のドラマを求めていたNetflix の要望に、まんが、コミックに関する圧倒的な知識、情報量を誇る河原ディレクターが瞬時に応え、極めて短期間で企画、制作に漕ぎつけ、監督も自ら手掛けた。制作面でのNetflix からの注文は明確で、“日本ではなくアジアで人気が出るもの”であったとのこと。

このコンテンツ制作を通して、河原瑶ディレクターは「日本が世界で戦えるのは恋愛ドラマ。ただし、社会人の恋愛ものは、舞台になる会社などによってアジア圏内で受け入れられない場合もある。学園ものは本当に万国共通」と確信するに至ったとのこと。

第11回アジアドラマカンファレンス2016 写真その5第11回アジアドラマカンファレンス2016 写真その6

中国製作者側からは、Youku Tudou のジョウ・ファン氏が登壇。『中国ウェブドラマ発展の現在と未来』と題し、1)モバイルインターネット時代の新たなチャンス 2)コンテンツ伝送方式の新たな変化 3)Youku Tudouのウェブドラマの発展過程 4)商業構造の新モデル(新たなビジネスモデル)等々を論じた。

『Youku Tudou のウェブドラマの発展過程』では、総再生数が数億ビューを上回った作品群を紹介しつつ、版権(IP)購入、多様なテーマ探索、斬新なPR方法など多くの挑戦を披露。また国際共同製作の事例として、日中共同制作「深夜タクシー」(2014年、2015年)、「孤独のグルメ」(2016年)、また韓中共同制作「ドリームナイト」を挙げていた。

韓国製作者側からは、ドレミ・エンターテインメントのキム・ウンホ本部長が登壇。『マルチプラットフォーム時代に“テレビ”シリーズはどのように制作されるのか』と題して基調報告。

ドレミ・エンターテインメントが現在企画・製作中の連続ドラマ・コンテンツ「超人家族」(Super Family)での模索、チャレンジを紹介。もはやチャンネル・ブランドの時代は終焉し、コンテンツ・ブランドの時代と強調。視聴者がどのコンテンツを見たがっているかが全て。どのTV局かとか、プラットフォームとかは関係ない。(今回のカンファレンスでは、多くの参加者から同様の意見が出された。)「超人家族」ではTV放送網、配信プラットフォーム、ウェブ漫画、NAVERのVアプリ、フェイスブック、ラジオ等々、あらゆる手段を駆使して、“大衆とニッチ市場を同時に攻略”していく。また、今や視聴者の参加は必要要素。例えば、番組のラストに視聴者が制作、投稿したコンテンツを挿入、放送・配信する。こうした試みを実践し、年明けの放送・配信に供えていくとのこと。

第2部は各国の脚本家が登壇。日本側からはシナリオライターの加藤正人氏が、『「火花」の脚本について』と題し、基調報告。日本発、Netflix ドラマ第1弾「火花」(原作:又吉直樹 全10話 世界190か国配信)のシナリオを引き受けるに至った動機、理由などを語った。映像ドラマが大きな岐路に立っている今、ネット配信で映像ドラマは大きく変貌を遂げるであろうと予感し、ネット配信という新しいドラマに興味がもてたとのこと。

中国の脚本家からはワン・リーピン氏が登壇し、『素材が若いほど感情は生きている』と題し、報告。伝統的テレビの世界において、主なドラマ視聴層であった女性(主婦)視聴者から圧倒的な支持を得てきた、中国有数のヒットメーカー・女性脚本家ワン氏が、新たなインターネット・ユーザー世代の反響、本音、感情を作品の取り込み、益々視聴層を広げてきた経緯を披露。

また、今月11月から撮影を開始しているドラマ「国民大生活」を紹介。主人公である女性作家の進取な人生と、男性主人公の現実に安住する人生のぶつかり合い、彼らの感情の絡み合いを、是非ご期待ください、と締めくくった。

韓国脚本家側からは、今年の韓国ドラマを代表するヒット作「また?!オ・ヘヨン ~僕が愛した未来(ジカン)~」(放送:tvN)を執筆した、女性脚本家パク・ヘヨン氏が登壇。

この作品は同名異人による誤解を素材にした恋愛ドラマ。高校の同級生だった二人、“普通のオ・ヘヨン”はまるで平凡、もう一人“綺麗なオ・ヘヨン”は成績も優秀、綺麗で、性格も良く、皆に好かれていた。

この二人のオ・ヘヨンと男性陣が、偶然の誤解やプライドと嘘で、関係がこじれにこじれていく。登場人物たちは強烈なキャラクターの持ち主で、人間の感情をむき出しにしてもつれ、視聴者を虜にしていった。コミカルで猟奇的な短いエピソードがふんだんに盛り込まれている。

パク・ヘヨン氏は“夜11時台の連続ドラマということをのみ意識し、執筆した”が、結果、このドラマはコンテンツパワー指数No.1という、いわばマルチプラットフォーム時代の目玉コンテンツとなった。韓国ではコンテンツの波及力を判断するために、視聴率以外にこのコンテンツパワー指数が重視されている。コンテンツパワー指数とは、ネット検索の総クリック数等々を放送局が独自に指数化したもの。

また、特別基調報告として、ミャンマー・ラジオ・テレビ局(MRTV)のプロデューサー、ミヤット・カイェ・モネ氏がミャンマーのテレビ放送に関する現状を報告。情報省傘下にあるMRTVが唯一の放送局で、国営チャンネルとして運営されている。一方、国防省傘下にあるミャワディ(MWD)放送局は、軍の役割を広報する軍事チャンネル。

MRTVは全国80%の視聴者を確保し、(国境隣接地域はミャンマー語ではない、別な言語の使用地域もある)計25の民間チャンネルがある。多様なコンテンツを扱い、ニュース、教育娯楽番組、教養娯楽番組、青少年こども番組等々、幅広いジャンルの番組が放送されている。 また、放送技術者、製作者をはじめ、音楽家、脚本家に至るまでの専門家を育成、教育する制度の充実が図られているとこの。

ドラマ放送に関しては、80%が韓国、中国、タイ、インド、フィリピン、日本からの輸入コンテンツ。ただし、25の全ての民間チャンネルはドラマの直接制作を試みており、一部では放送を始めている。MRTVは2015年にミャンマーで初のテレビドラマシリーズとして、正義と法規をテーマに「日、月、そして真実」を放送。尚、各国の大使館の協力も得て、2013年からは「人権と人間の尊厳の国際映画祭」も開催している。

会議参加者らは、11月21日、22日と2日間に及ぶカンファレンス日程を経て、23日、24日は阿蘇大観峰、阿蘇神社、黒川温泉等々を巡るシナリオハンティング、ロケハンの旅に出た。

「アジアドラマカンファレンス」は、脚本家の市川森一氏(故人 当時・日本放送作家協会理事長)と、韓国のシン・ヒョンテク氏(故人 当時・韓国ドラマ製作社協会会長)の提唱により、アジア各国におけるドラマ産業、放送文化へ寄与することを目的として、各国の製作者、脚本家らが質の高いドラマ・コンテンツをプレゼン、基調報告し、討論を重ね、製作力向上へ向けた文化交流・相互理解の進展、さらに共同製作、制作協力体制構築も視野に入れた意見交換、B to B等をおこなっているもの。2016年の初開催以降毎年開催しており、これまでに釜山、上海、長崎、ソウル、福岡、慶州、北九州市で開催してきた。今回は第11回で、計8か国 17団体・計130人が参加。

2017年に関しては、開催時期、場所等々含め未定。

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