ATP賞テレビグランプリ
☆上半期選考総評
審査委員長 長嶋甲兵(テレコムスタッフ)

上半期選考会は6月9日16:00~ 6時間に渡って行なわれた。個人的に体調が悪く進行はぐたぐたであったが、4人の審査員たちのフレッシュな情熱と深い批評に助けられ、濃密な選考会であった。天笠審査委員の「バラエティ」とは何か?という本質的な問いかけ。中川審査委員の歯切れの良い選評、とりわけドラマ部門の黒沢審査委員の、的確で作品への愛情に満ちた選評一つ一つに唸らされた。久保田審査委員の経験に裏打ちされた深みのある寸評も光った。
さて今回の選考で昨年と大きく変更したのは3点。

★一つは「上半期応募作品」の中から「上半期優秀賞」を選出する。ということだ。昨年からスケジュールや物理的な負担を鑑み、応募と選考を「上半期」「下半期」と分けた。昨年は「上半期通過作品」とあくまで「優秀賞候補」にとどめたが、どうしても「下半期」に視聴した作品の印象が強く、フェアではない。と判断、2期それぞれ半数程度、「優秀賞」を選出することにした。むろん「最優秀賞」は、2期の「優秀賞」を候補作とし、総合的に判断する。

★さらに「優秀賞」はこれまで「賞状」による顕彰のみであったが、その価値を高めるため、今期から小ブロンズを授与し顕彰する。そのかわり昨年まであわせて「上半期」「下半期」で20本程度選んでいた「優秀賞の本数」を、全体で15本程度に減らすことにした。つまり例年よりもハードルの高い、「狭き門」となった。

★3点目は「審査会」の合意として、「バラエティ部門」と「情報番組部門」を「情報バラエティ部門」一つに統合した。3年前からそれまでの「情報バラエティ部門」を「情報番組部門」「バラエティ部門」にわけ、「ドキュメント」「ドラマ」とあわせ4部門で選考していたが、既に昨年から4部門の弊害が指摘され(例えば応募数の偏在や、“情報”と“バラエティ”の差異とは何か?など)、今回の応募作品も「情報」「バラエティ」の差異が曖昧な点が目立った。さらに「ドラマ」や「ドキュメンタリー」として応募された作品にも、ドラマドキュメンタリーやジャンルを越境するようなものもある。むしろこれからの「ATP賞」はそうした既存のジャンルを超える斬新な作品を評価すべきであって、ジャンルの細分化は時代に逆行している――という審査員全体のコンセンサスから、「将来的にはノンジャンルで…」という方向性を確認しつつ、今回は3部門の形に戻し、それを前提に選考した。応募時のルールを応募後選考時に「変更する」ことで異論や不満は出てくるとは思うが、そうしたフレキシビリティ(柔軟性)やアクチュアリティ(現実性)こそがこの賞の発展には重要と判断、どうかご容赦頂きたい。よって下半期も「情報バラエティ部門」での一括募集になることを確認しておきたい。


ここからは各部門優秀賞選考の流れを要約する。

★ドラマ部門は2作を優秀賞に選出。『長生き競争』(共同テレビジョン)は「老い」や「死」への不安や怖れを決して暗くシリアスにならず、軽妙に描いたコメディ。主人公の老人と“アラフォー”の実娘、そして“フリーター”の若い女性との絡みによって、単なる「老人問題」だけではないポリフォニックなテーマを浮かび上がらせ概ね満票。残り一つは『ドラマ8 キャットストリート』(テレパック)と『警官の血』(東北新社クリエイツなど)という対照的な作品が最後まで争った。前者は現代の「不登校の若者たち」のリアルな再生の群像劇、後者は労働争議、連合赤軍事件、汚職事件などまさに「戦後史の闇」を生き抜いた警察官3代の力強いクロニクルを巨匠・鶴橋監督が描いた大作。前者は病んだ若者たちの細かな心の機微を歯切れの良い演出で浮かび上がらせる。逆に後者は出来事も人物描写も重く、深刻で一つ一つのエピソードに力はあるが、それを通して見せられた時、若干冗長な印象が拭えない。結果的には『キャットストリート』が僅差で受賞した。

★ドキュメンタリー部門は3作を選出したが、突出した作品が見当たらなかった。中では『BS世界のドキュメンタリー 四川大地震シリーズ 李先生と30人の子どもたち』(テムジン)は、ほぼ異論なく選出。大地震で家族を失ったトラウマを抱える子どもたちを優しく、力強く支える李先生。実は彼女も地震で一人娘を失っていた。そのエピソードが秀逸。テムジンからは既に各賞を総なめにしている『認罪』も出品されたが、当審査会では「李先生と子どもたちの未来」へエールを送る。後の2作は審査員の評価が大きく別れた。『ハイビジョン特集 初女さんのおむすび』(テレコムスタッフ)は地元の素材にこだわった料理でもてなすことで、病んだ女性たちの心を癒す、カリスマ・佐藤初女の四季を丹念に描いた作品。彼女の“カリスマ性”をどう受け止めるかで、評価が別れたが、彼女の素朴な料理を丹念に作る手触りや温もりに敬虔な“祈り”のようなものを感じる。逆に『天空のロストワールド』(テレビマンユニオン)は、南米の秘境ギアナ高地とアマゾンを、大沢たかお&蒼井優がそれぞれ別のルートで辿ってゆく壮大なアドヴェンチャー。それを痛快と感じるか、大袈裟と感じるかで評価は真っ二つに別れたが、個人的にはかつての“ネイチャリング”や“ウルトラクイズ”の馬鹿馬鹿しいほどのスケール感を評価した。最後まで議論の対象になったのは『報道発ドキュメンタリー宣言 消えゆく妻の記憶』(ViViA)で、その話題性や反響の大きさをどう考慮するかで最後まで残されたが、作品としての欠点が幾つか指摘され、今後の取材に期待することで、今回は選外とした。

★情報バラエティ部門は、最も選考が難しかった。評価が高かったのは「バラエティ」として出品された『笑劇開演~小林賢太郎テレビ』(NEP)で、稀代のパフォーマー・小林賢太郎の「斬新でシュールな笑い」の世界を、おそらく小林自身が企画から参加し、大胆に映像化した。『美味いは京都 料理人たちの挑戦』(ザ・ワークス)は、「京都」と「パリ」という世界の食文化の都を、それぞれを代表する料理人が行き来し、コラボレーションしてゆく。特にカリスマ・シェフ・ピエール・ガニエールが、老舗割烹の厨房や、農家の台所にどんどん入り込んでゆくさまは、ドキュメンタリーの魅力もあり秀逸。『ワンステップ!電気店のない島』(スタッフラビ)は、文字通り電気店がなく壊れた電気製品を修理できない離島に工業大学の学生たちが出張修理を買って出る。その企画がいい。「人見知り」なオタク系の学生たちと島民たちのコミュニケーションが肝で、「技術」=「人を喜ばせること」というシンプルで本質的な意味に学生たちが気づいてゆくドキュメンタリー。この部門最大の問題作は『人生が変わる1分間の深イイ話』(いまじん)だった。現在のバラエティを代表する人気番組で、「1分のVTR」という手法も斬新!しかし昨年もそうだったが、企画の発意や制作体制が問題になった。複数の制作会社が参加する番組を1作で評価できるのか?企画や総合演出がテレビ局主導の番組をどう考えるか?う~ん、正直むずかしい。


以下は4人の審査委員が寄せた惜しくも優秀賞からもれた作品の寸評。

★【ドラマ部門】

西村京太郎サスペンス「十津川警部~生命~」(テレパック)、渡瀬恒彦のハードボイルド感、伊東四郎の独特の味がとてもいいし、映像やスタント、テロップに至るまで、オーソドックスで視聴者に親切。人工授精という答えの出ないテーマと、親子愛という普遍的なテーマをドッキングさせる試みは、勇気が必要だったと思います。浅見光彦シリーズ26「津和野殺人事件」(テレパック)は、今旬の、沢村一樹のナチュラルな演技も磨きがかかってきました。景色のほとんどが、東京では見られないところであるのがいいです。風光明媚な名所で謎解きが行なわれるという、F3,F4世代には最も喜ばれるシリーズで、今回もその王道を行っていました。村田雄浩、加藤晴子、金田明夫、加藤夏希らの「大人の芝居」も安定感があって楽しめました。ドラマW「兄帰る」(葵プロモーション)は、映像のクオリティの高さ、筒井ともみの台詞の素晴らしさ。特に女性の台詞やモノローグが、リアルで、ツボを突いていて、時にイタくて、でもせつなくて、涙を誘います。向田邦子作品を思わせる、「大人のドラマ」。加藤晴子や、笹野高史の洗練されきったお芝居も、全体の演技水準をより上げています。テレビ朝日開局50周年記念ドラマスペシャル「警官の血」(東北新社クリエイツ)は、原作の“大河”感、キャスティングの水準、そして何よりも演出、特に魔法のように美しい映像は、圧巻。三人の主役が、演出家やスタッフを絶対的に信頼して、身をゆだねていると感じました。男娼たちの美しさ、名脇役たちの光る芝居、黄色やブルーの独特の映像、すべては鶴橋康夫監督が魅せる、もはや“魔法”と言えましょう。火曜22時ドラマ「チーム・バチスタの栄光」(メディアミックス・ジャパン)は、伊藤淳史は適役かつ好演で、仲村トオルもいつもと違う味を出していてこれまた魅力的、楽しめました。釈由美子、林隆三も存在感があり、的確なキャスティングだと思います。マスクで顔が見えないオペシーンでさえも、心地よい緊張感がありました。映画版とは犯人が違うという触れ込みも、宣伝的に成功していたと思います。TBS愛の劇場 「大好き!五つ子」(ドリマックステレビジョン)は、主役二人の演技が、健康的でとても好感が持てます。ヒット作「天までとどけ!」や「ぽっかぽか」を彷彿させる、昼の奥様方の座右の銘のような作品です。特に森尾由美の演技や(キレイなのにスーパーマーケットがよく似合う)デフォルメされた効果音、わかりやすい場面転換などは、「愛の劇場」というひとつのジャンルを確立していると思います。チチ、カエル。 ~ボクとオカマの夏休み~(東北新社クリエイツ)は、70年代のアメリカのTVコメディを意識した作りで、笑い声のSEやパラ撮りなど、画期的な試みでした。笑いとペーソス、いい原作だと思います。笑いのSEのタイミングや大きさが、違和感あるところもありましたが、池田鉄幹の存在感はお見事。ママさんバレーでつかまえて(NHKエンタープライズ)は、ワンセット、ワンブロックドラマならではの緊張感とリアリティが、よく出ていたと思います。試みは画期的で、リハーサルも入念に行われていると感じました。黒木瞳はとっても可愛らしいし、片桐はいりは強烈なインパクトがあるし・・・あらゆるコネタの集大成になっている「スーパー吉田の歌」は、秀逸。土曜ドラマ「上海タイフーン」(NHKエンタープライズ)は、中国の産業と日本の企業との関連性を改めて考えさせられました。中国と言う国のブラックボックスな部分がリアルでした。サクセスストーリーゆえの、時系列通りに進んでいく、視聴者に優しい構成も、脚本の福田靖さんの余裕を感じます。「追い込まれた女、失踪する女」を好演する木村多江に、素直に感情移入しました。トンスラ(テレビマンユニオン)は、温水洋一、吉高由里子という、今最も輝いているふたりに、怪優たちが絡んでくる・・・。そのサブカル感、深夜ドラマならではのコアさが、独特の空気感を作り出しています。ナンセンスギャグと、脱力感たっぷりの作風は、とても心地よく、赤をベースにした装飾も、ディレクターのセンスを感じさせます。福家警部補の挨拶~オッカムの剃刀(メディアプルポ)は、永作博美がとにかくチャーミング!犯人が最初からわかっている倒叙型のミステリーなのですが、ギャグとコネタのセンスが光ります。名バイプレーヤーたちもやりたい放題遊んでいるのですが、決して滑ってはいません。そんな膨大なギャグ郡の中に、実にさりげなく隠されている伏線。永作博美がラストで草刈正雄に浴びせる一言も痛快です。

★【バラエティ部門】

人生が変わる1分間の深イイ話(いまじん)は、バラエティ番組としてバランスよく、1分間のくくりの発想・視聴者参加・心レバーというシステムでテンポよく、家族で楽しめる番組です。世界を変える100人の日本人~JAPAN★ALLSTARS(いまじん)は、知識・取材がしっかりしたVTRの作りでした。王の秘蔵フィルムや知られざるエピソードは、取材力を感じます。スタジオがVTRと温度差があるように感じられました。愛のワンニャン大作戦(ハウフルズ)は、前半はテンポがなく、辛かった。後半の犬のお見合いをバラエティにし、ペットをテーマにくだらなく面白い部分もある。爆唱!噂のKステージ(ハウフルズ)は、娯楽番組として、正月にほろ酔い気分で気楽に見られる番組。カラオケを通して芸能人の素の部分を楽しめますが、新鮮さに欠けました。仰天マネー アニマルファイター(C.A.L)は、対戦形式で動物達の情報を見せていく番組で、経済効果を算出するという発想は面白いです。取材力が感じられるが、対戦システムがパターンになってしまう。対戦を重ねるにつれ、算出に疑問がわきこじつけに感じました。ウドで訊く!~遠隔操作トークバラエティ~(テレバイダー・エンターテイメント)は、トーク番組だが、MCにあえてボケのウド鈴木を使って指令展開という発想は面白いと思います。作り自体は粗いが、ウド鈴木のアップは画面にひきつけられる。ファーストインパクトが強いが、実際の指示する質問自体が切り込んだものではないのが残念。TVソムリエ 謎の屋台2(テレコムスタッフ)は、NHK番組の番組批評番組として設定・キャスティングは、NHKらしくなく良かった。のど自慢の裏側取材などオリジナル取材もあり工夫された番組でした。番組自体の発想は、ありがちです。課外授業ようこそ先輩 「死の実験と生きる役割~作家 新井満 篇~」(テレコムスタッフ)は、大変、衝撃的な番組でした。しかし、バラエティ番組として評価していいのか悩み、今回は応募ジャンルが違うと判断しました。歴史を変えた!食べ物語~堀尾×田丸 殿様御膳のナゾ(東京ビデオセンター)は、各所へのロケと歴史再現を入れ、歴史取材をよくしている作品です。NHKをやめた堀尾さんが活き活きとしていました。随所で今人気のお笑いタレントを使って展開していますが、無理やりな感がありました。日本ナンダコりゃこれくしょん 今度は俳句だ!(東京ビデオセンター)は、大人が楽しむ知的プレゼンショー番組。展開パターンが、一緒で途中で見飽きます。俳句という題材を面白くみせるという企画はいいが、2時間の構成としてはもう一工夫ほしい。ヒミツのちからんど~びっくり!そっくり!似顔絵(東京ビデオセンター)は、子供番組「似顔絵の描き方」子供を持つ大人も楽しめる工夫がほしい。僕の日本を紹介します(ViViA)は、海外ロケを含め独自の取材・ロケをよくしている。海外へ日本をと紹介するという形ではあるが、日本人が日本をもっと知ることのできる番組。日本の文化・技術を、肩が張らず見ることができました。家族で楽しめ、情報があり、お正月にふさわしい番組でした。「吉高由里子20歳、奈良着。~小さな恋のお手伝い~」(ホリプロ)は、吉高由里子という女優の旅ドキュメンタリー?製作意図にあるスタッフの仕掛けで女優の素をみせるという演出は、見て感じることが出来ませんでした。日本テレビ開局55年記念番組「女たちの中国 第三弾」(テレビマンユニオン)は、時間をかけてよく取材をしている作品です。北京オリンピックの映像のお陰で大変、画が重厚に見えていた。くりぃむしちゅーが中国に中継の意味がなく、残念でした。ジャンルも情報なのか、バラエティなのか難しい作品です。

★【情報部門】

没後10年黒澤明特集「よみがえる巨匠の製作現場」(フラミンゴ・ビュー・カンパニー)は、撮影現場でのレンズ、ストップモーションの使い方、興味深かったです。もっと、見たかったです。沢山の情報が紹介されているのですが、表層的だったのが残念でした。「地球アゴラ」(アマゾン)は、新しい発想の番組でスタイルに期待します。各国クロストークでの温泉自慢とかあれば、もっと楽しかったかなと思いました。わたしが子どもだったころ ~熱い手 張本勲~(NHKエンタープライズ、ダイメディア)は、張本にここまで語らせている演出の勝利を指摘する声があった一方で、つくりすぎとの意見もあり評価が割れました。このシリーズを「情報番組」部門で出品することの是非が論じられ、ノンジャンル部門を設けるべきとの意見もありました。秋・つながる心「60歳のラブレター」(NHKエンタープライズ、スローハンド)は、ラブレターを書いた人達全員が、とても輝いて見えました。様々なご夫婦の形が見られて、企画は素晴らしいと追いましたが、作りに工夫が欲しかったです。わたしが子供だったころ「アニマル浜口編~オヤジの肩車」(テレコムスタッフ)は、父への満たされなかった想いが、今のアニマルさんの娘へのエールに込められていること、納得できました。様々な出来事が表現されているのですが、ちょっと散漫だったと思います。クラシックミステリー『名曲探偵アマデウス』「紬の里から来た音盤」ムソルグスキー作曲~組曲『展覧会の絵』(テレコムスタッフ)は、ドラマ部門の問題を指摘する声が複数の委員からありました。《鼻につく》という意見の一方で、企画のアイディアが面白く楽しめるとの評価もありました。海外ドラマ60年史~名犬ラッシーからCSIまで~(日本ケーブルテレビジョン)は、膨大な映像をおしゃれに構成するのは大変な作業だったと思います。スタジオ部分もさほど重くなくて見やすかったのですが、時系列の構成で見やすさの反面ちょっと単調になってしまいました。映画の子・マキノ雅弘~まるで活動写真みたいな人生(テレビマンユニオン)は、一言で言えば 「すごく面白い」か「すごくつまんない」と採るか、評価が分かれる番組。こうした過去のアーカイブスを駆使した番組を30年前から実践している厚みを評価する声がある一方で、過去作品としては理解できるが、2009年の番組としてどう見たらいいのかという戸惑いの声もありました。ETV特集「もう一度 会いたかった~多田富雄、白洲正子の能を書く」(東京ビデオセンター)は、能の作り方、とても勉強になりました。只、多田さんや白洲さんを知らない人には難解な番組だと思いました。土曜ロータリー 教育を考える 緊急SP 「カリスマ先生大集合! 熱血ティーチャー学園」(IVSテレビ制作)は、貴重な情報ではあるが、役に立つ情報ではない、との声がありました。抜きん出るものがない、よく知られている情報で、ちょっと弱いとの評価も。サンデープレゼント「がん治療最前線 生還者たちの選択~ここまできたニッポンの実力~」(ViViA)は、興味深い内容という評価がある一方で、実際に普通の患者が治療を受けられるのだろうか。少し機器の宣伝色が強すぎないかという指摘もあった。情報はメモするに値するが、番組としての評価はいささか、という声も。東京カワイイ★TV『お菓子モチーフ最新事情/増えてます!「帽子族」/ハンドメードLOVE』(えふぶんの壱)は、この枠は沢村のオヤジ目線のいい味を開発しているとの評価がある一方で、素材の構成が並列的で朝ワイドショーの情報コーナーを脱していないとの厳しい声もありました。ハイビジョン特集「築地市場大百科(つきじしじょうだいひゃっか)」(ヴィジュアルフォークロア)は、さまざまな味がバランスよく入っているとの声がある一方で、長すぎる、とりわけ前半の素材が築地のプロットタイプに終わっているとの指摘がありました。新トーキョー人の選択 ~田舎暮らしでセカンドライフ(NHKエンタープライズ)は、トレンドの企画で、貴重な情報だと思います。ただ、取材のスパンがもう少し長ければ、深い情報に結びつけられたと思います。こんにちは 動物の赤ちゃん!2008(NHKエンタープライズ)は、動物の赤ちゃんの愛くるしい映像と、飼育員さん達の賢明な姿は心を打ちました。もう少し「へえ」と、云える情報が欲しかったです。世界一周!地球に触れるエコ大紀行「ブラジル 乾いた湿原に命の連鎖を見る」(NHKエンタープライズ、ドキユメンタリージャパン)は、生中継なのに、野生動物を生き生きと撮影できていたのに感動しました。土壌の流出問題などに触れながらも、声高に環境問題を訴えずに「感じてもらう」という姿勢に共感します。生放送ならでは構成が入ると良かったと思います。

★【ドキュメンタリー部門】

なでしこ隊~少女達だけが見た“特攻隊”封印された23日間~(FCC、ジンネット)は、クオリティが高く、ドラマとドキュメンタリーが競い合って効果を挙げている、話は前から知っていたが写真が強い力を持っているとの賞賛がある一方で、放送文化基金賞ではドラマ部門で応募されているとの疑問の声があった。ハイビジョン特集「北京輪タク哀歌~“フートンの松さん”の2008年~」(バサラ)は、ナレーションなしで110分展開されることの是非が論じられた。北京の裏町のしたたかさ、力強さが伝わる、北京五輪の裏側が判るとの声がある一方で、ナレーションがないことがイージーな演出として選択されていないか、もっと工夫すべきとの指摘があった。BSドキュメンタリー「アジアに生きる子どもたち 僕らの海を守りたい~フィリピン・魚が獲れなくなった島で~」(バサラ)は、主人公の少年が純粋で魅力的、よくこんな被写体を見つけたという賞賛がある一方で、いい番組だが、担当ディレクターの日頃の力量からいえば、標準作で優秀作とは云えないとのクールな指摘もあった。BSドキュメンタリー アジアに生きる子どもたち「自転車で走れ 希望の道~ベトナム・枯れ葉剤がまかれた村で」(えふぶんの壱)は、ベトナム戦争の後遺症がひしひしと伝わる力作でショックを受けたとの声の一方で、いま起きていることで引っかかるシーンがないとの指摘もあった。登場する先生の「恨む」という言葉の意味性をもっと追求すべきだとの批判もあった。海外のコンクールに出品する「総務大臣賞」部門の候補作ではないかとの評価があった。これが日本の大家族!勘三郎感動密着413日~涙と笑いの親子愛スペシャル(共同テレビジョン)は、よく取材されていて見ていて飽きないし、編集も巧みだとの声がある一方で、家族をもっと見られるかと期待したら、なんのことはない梨園の周辺のエピソードが多く、看板に偽りありではないかとの批判があった。「ベス・チャトー 荒れ地に育む奇跡の庭」(テレコムスタッフ)は、夏海カメラマンがベス・チャートの庭を丹念に撮影した美しい映像が印象的な作品で、水の浪費に関しての考え方や、「自然はコピー出来ないけど、自然に導いてもらう事が出来る」という、ベスのコンセプトは説得力がある。しかし、この庭自体の存在に、時々、何の為のものなのかと言う疑問が頭をもたげてしまう。植物に対する深い彼女の愛情を感じれば感じるほど、複雑な気持ちになった。アジアンスマイル「孝女(ハオルー)の涙~台湾 台北」(テレコムスタッフ)は、「葬式で泣く」事を職業とする主人公の存在もさることながら、その泣きにつられて参列者たちが皆号泣していくと言う状況を捉えたこの番組は、文化と習慣の違いをインパクトのある映像で見せてくれている。欲を言えば、主人公をもっと魅力的に描けたのではないかと感じる点が残念である。ハイビジョン特集「上京 ~故郷に背を向けて~」(テレコムスタッフ)は、石澤演出の構成力と、長谷川孝治さんの人間としての魅力が重なって、「上京する」という事がどういう意味を持つのかと言う事を深く突きつけてくる作品となっている。ただ、長谷川孝治さんの世界観は伝わるが、芝居そのものをちゃんと観ていない者には、肝心な事が分からないもどかしさが残る。サタデーバリューフィーバー「世界が変わる命の数字」(クリエイティビネクサス)は、臓器提供禁止している国、日本で心臓病にかかった息子の為に、募金をする父親の姿は、掛け値なしに胸を打つ。番組のコンセプトも、良く考えられてはいるが、「世界がもし100人の村だったら」のインパクトが強く、逆に損をしている部分もある気がした。シリーズ 秋・つながる心「見えないことは不幸じゃない~全盲夫婦の夢と子育て」(えふぶんの壱)は、オペラ歌手の母とマラソンランナーの父という全盲の夫婦と二人の娘という家族の物語。娘の1人が健常者であることで、盲目の家族たちとの微妙なコミュニケーションがドキュメントの核だが、構成の核である「母の手紙」がうまく機能しない。BS世界のドキュメンタリー「笑いで闘え~アメリカ・アラブ系コメディアンの挑戦」(喜望峰)は、「911」以降のアラブ人差別を“笑い”でたくましく乗り越えようとするコメディアンの物語。ユダヤ人コメディアンとの友情が秀逸だが、収録された「出来事」に力がない。CROWN presents 超えてゆくアスリートたち~片山右京vs五輪メダリスト(日本ケーブルテレビジョン)は、ソフトボール・上野やレスリング・吉田、フェンシング・大田選手など北京五輪で活躍したアスリートの葛藤と素顔をインタビューと片山右京の体験レポートで丹念に取材するが、驚くような事実は浮かび上がらない。Quest 探求者たち「コルシカの侍画家 松井守男」(日本ケーブルテレビジョン)は、松井というフランスでは勲章を受章した有名人の存在に新鮮さはあるが、彼の紹介の域を抜けない。ハイビジョン特集「京都・丸竹夷にない小路」(ホリプロ)は、情報番組としては優秀作だがドキュメンタリーとしては物足りない、長くて最後まで続かない、との評価でした。わたしが子どもだったころ「女優・藤原紀香~素敵なレディに育つまで」(ホリプロ)は、Y字開脚が出来るようになるまでの姿を密着してドキュメントしているシーンが、藤原紀香らしさを強く感じさせてくれるが、名作の並ぶ「わたしが子供だった頃」の中では、少し見劣りがしてしまった。報道発 ドキュメンタリ宣言「消えゆく妻の記憶~今日の洋子は明日いない~」(ViViA)は、長門さんの勇気に感服。あっという間に見れる、よく撮れているし衝撃度がある、との評価の一方で、切込みが足りない、芸能人だから成立しているんじゃないか、なぜ病院に連れて行かないのかとの声があった。今後の総集編などに期待したいとの総合的な評価。フランスを変えた男~ファッション界の挑戦者仁野覚(テーク・ワン)は“エスモード”という本場パリのデザイン専門学校を、改革する日本人CEOが主人公。これも彼の紹介の域を出ない。長倉家の人々 借金5000万円からの再起〜密着300日〜(C.A.L)は、保育園に行けないのがビンボーなのか。制作者の貧乏の定義が聞きたい、家族の価値観がよく判らない、ナレーションが多く語りすぎだとの声があった。ハイビジョン特集「“認罪”~中国撫順戦犯管理所の6年」(テムジン)は、ヘえーと感心した、裁判の映像がすごい、人間改造を意図する中国側の心理劇として怖さを感じたとの賞賛がある一方で、長いとの率直な声も複数あった。年末年始特集「男自転車ふたり旅~イタリア1200キロを行く~」(NHKエンタープライズ)は、自転車で旅をする男二人・蟹江一平さんと猪野学さんの仲の良さがふんだんに滲み出ている作品ではあるが、行き当たりばったりの旅の面白さが、どちらかと言うとマイナスに作用してしまっている気がした。

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